ChatGPTの業務における活用や自社プロダクトへの組み込みを検討している企業が急増しており、当事務所にも多数のお問合せをいただいております。ChatGPTは非常に便利なツールであり、当事務所の所内業務にも活用しています。ただし、導入に際しては利用規約の内容を十分に理解し、リスクを評価した上での活用を強く推奨しています。

この記事ではChatGPTの利用規約について概説します。
※ChatGPTの利用規約は頻繁に更新されるため、最新の情報をご確認下さい。

ChatGPT利用規約の全体像

以下のとおり、様々な規約・ポリシーが存在します。Terms of Useが基本的な事項を規定し、それに追加してサービスや利用ケース別の規約・ポリシーが定められています。

以下、規約ごとのポイントについて概説します。

Terms of Use

生成コンテンツに対する権利と商用利用

ChatGPTが生成したコンテンツについての"所有権(ownership)"はユーザーに帰属することが明記されています。したがって、ChatGPTの出力は自由に商用利用が可能です。

Ownership of Content. As between you and OpenAI, and to the extent permitted by applicable law, you (a) retain your ownership rights in Input and (b) own the Output. We hereby assign to you all our right, title, and interest, if any, in and to Output.

Terms of Use

AI学習へのコンテンツ利用

ChatGPT利用者がAPI経由で送信したコンテンツは、AI学習に使用されない旨が明記されています。一方、API以外で送信したコンテンツについては、オプトアウトの手続をしない限り、AI学習に使用される可能性があります。その場合、投稿した情報が他のChatGPTユーザへの出力に混入する可能性を排除することは困難ですので、情報の取り扱いに十分に注意する必要があります。

(c) Use of Content to Improve Services. We do not use Content that you provide to or receive from our API (“API Content”) to develop or improve our Services. We may use Content from Services other than our API (“Non-API Content”) to help develop and improve our Services. You can read more here about how Non-API Content may be used to improve model performance. If you do not want your Non-API Content used to improve Services, you can opt out by filling out this form. Please note that in some cases this may limit the ability of our Services to better address your specific use case.

Terms of Use

なお、API経由での送信でも、コンテンツに個人情報を含む場合、個人情報保護法上の問題(第三者提供への該当有無、委託への該当有無等)が別途生じるため、慎重な検討が必要となります。(詳細は別記事に記載します。)

オプトアウトの方法

ChatGPTのオプトアウトは PC版の場合、Settings > Data Controls > Chat history & training から設定可能です。
但し、この方法ではチャット履歴へのアクセスができなくなります。チャット履歴へのアクセスを残しつつ学習への利用をオプトアウトするためには、専用フォームからの申請が必要です。OpenAI Privacy Request Portal から申請が可能です。

Sharing & publication policy

ソーシャルメディア等への投稿

ChatGPTで生成したコンテンツをソーシャルメディア等に投稿する際には、手動での内容確認及びAIで生成したコンテンツであることの明記が義務付けられています。
したがって、ChatGPTで生成したコンテンツを自動的にブログやXにアップするようなプログラムやサービスは規約違反となります。

また、そのようなサービスは著作権侵害、名誉毀損、商標侵害、一般不法行為その他の広範な法的リスクを負うことにつながります。ChatGPTを活用したサービスについては品質担保の仕組みづくりが必須となります。

Please adhere to the following:
Manually review each generation before sharing or while streaming.
Attribute the content to your name or your company.
Indicate that the content is AI-generated in a way no user could reasonably miss or misunderstand.

Sharing & publication policy

Usage policies

専門的アドバイス

個別案件についての法律、医療/健康、金融上のアドバイスを、有資格者のレビュー並びにAIに依拠していることとその潜在的な限界を開示することなく提供することは、Usage policiesで禁止されています。

また、個別の法律問題についての助言は弁護士法の規制対象であり、金融上のアドバイスであれば金融商品取引法が適用される可能性があります。専門性の高い分野における最新の情報をChatGPTが把握できている保証もありません。
ChatGPTのAPIに依拠したサービス開発を行う場合、サービス品質の担保・維持を慎重に検討した上で、利用規約や内部管理文書によるリスク管理の徹底が求められます。

2. Don’t perform or facilitate the following activities that may significantly impair the safety, wellbeing, or rights of others, including:
a. Providing tailored legal, medical/health, or financial advice without review by a qualified professional and disclosure of the use of AI assistance and its potential limitations

Usage policies

ロジットパートナーズ法律会計事務所のサービス

当事務所では、現役のAIエンジニアでもありAIの技術的背景と活用に高度な知見を有する弁護士が、クライアントの生成AI活用をサポートしています。基本方針の策定から始まり、コンプラリスクの識別・評価と対応方針の検討、サービス導入、利用規程・手順書の作成、運用面の担保、教育・研修に至るまで、あらゆるフェーズで生成AI活用に関する支援が可能です。お気軽にお問合せください。

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