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所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第13号)が2025年3月31日に成立し、同日公布されました。本記事では、企業の実務に影響する改正を3つに絞って整理します。改正の概要は、財務省の令和7年度税制改正(令和7年3月発行)にまとまっています。
給与実務に影響する所得控除の見直し
いわゆる「年収の壁」への対応として、控除額が引き上げられました。
- 基礎控除(本則)が、最高48万円から58万円に
- 給与所得控除の最低保障額が、55万円から65万円に
- 給与収入のみで他に所得がない場合、所得税の課税最低限が103万円から160万円に
課税最低限160万円は、給与所得控除65万円と基礎控除95万円の合計です。基礎控除には所得に応じた上乗せがあり、合計所得金額が低い層では本則58万円に37万円が加算されて95万円になります。この上乗せのうち、課税最低限を160万円とする部分は恒久措置ですが、中所得者層に対する上乗せは2年間の時限措置です。恒久措置と時限措置が同じ「基礎控除の上乗せ」の中に混在しているため、説明の際に混同しやすいところです。
扶養親族・同一生計配偶者の合計所得金額の要件も、基礎控除と同額の58万円に引き上げられました。給与収入でいえば103万円から123万円になります。
あわせて、特定親族特別控除が創設されました。19歳以上23歳未満の親族については、その親族の給与収入が123万円以下であれば従来どおり特定扶養控除63万円が適用されます。123万円を超えても150万円以下であれば、新設された特定親族特別控除により同額の63万円が控除され、150万円を超えると段階的に逓減して188万円を超えると控除がなくなります。従来は子の収入が103万円を超えた時点で63万円の控除が一気に外れましたが、その段差が緩和されます。
これらの改正は原則として令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税に適用されます。令和7年11月までの月次の源泉徴収事務に変更はなく、令和7年12月に行う年末調整で反映します。給与計算システムの改修時期の確認と、特定親族特別控除を受ける従業員から申告書を回収する段取りが、年内の課題になります。
防衛特別法人税の創設
防衛力強化の財源確保のため、法人税額に対する付加税が新設されました。
- 課税標準は、基準法人税額から年500万円の基礎控除額を控除した金額
- 税率は4%
- 令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用
ここで500万円と比較するのは、最終的な納付税額ではありません。基準法人税額は、所得税額控除や外国税額控除といった一定の税額控除を適用する前の法人税額です。したがって、税額控除を使って納付法人税額を抑えている場合でも、控除前の金額が500万円を超えていれば防衛特別法人税が生じます。逆に基準法人税額が年500万円以下であれば、原則として負担は発生しません。
適用は令和8年4月開始事業年度からであり、本記事の公開時点で直ちに影響するものではありません。事業年度によって初回の課税時期が変わるため、自社がいつから対象になるかを先に確認しておくとよいでしょう。
中小法人向けの措置
中小法人等の軽減税率の特例(所得のうち年800万円以下の部分に15%)は、令和9年3月31日までに開始する事業年度まで2年延長されました。ただし所得が10億円を超える事業年度については、年800万円以下の部分に対する税率が17%になります。10億円超の所得全体に17%が適用されるわけではありません。あわせて、グループ通算制度の適用法人が特例の対象から除外されました。
中小企業経営強化税制は、適用期限が2年延長されるとともに、売上高100億円超を目指す中小企業向けの措置が拡充されました。既存の措置では、認定を受けた経営力向上計画に基づいて機械装置・工具・ソフトウェア・器具備品・建物附属設備を取得した場合に、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超の法人は7%)の税額控除を選択できます。今回の拡充では、この対象資産に建物が加わりました。 建物とこれに併せて取得する建物附属設備について、賃上げ率が2.5%以上であれば特別償却15%または税額控除1%、5%以上であれば特別償却25%または税額控除2%が認められます。既存措置の控除率とは別の枠組みである点に注意が必要です。
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